1.はじめに
国土交通省四国地方整備局中村河川国道事務所の事業の一つである「国道56号中村宿毛道路」と当社との出会いは昭和63年7月です。
今思えば国土交通省四国地方整備局の一つの事業に過ぎない「国道56号中村宿毛道路」との出会いこそが、当社が大きく飛躍するきっかけになろうとは、入社6年目の私は「夢にも」思いませんでした。
2.中村宿毛道路の概要
①延長:L=23.2㎞(内一般道路L=2.5㎞)
②道路構造規格:自動車専用道路(第1種第3級),一般道路(第4種第1級・第3種第2級)
③設計速度:自動車専用道路(80㎞/h)、一般道路(60㎞/h)
現在は、一般道路区間及び自動車専用道路区間の四万十IC~平田IC(L=13.1㎞)間が供用し、平田IC~宿毛IC(L=7.6㎞)間の供用に向け鋭意施工中です。
3.中村宿毛道路との出会い
実は当時(昭和63年頃)、国土交通省(当時:建設省)が発注する構造物設計や道路設計、ましてや自動車専用道路の詳細設計など、当社は一度も手掛けたことがなく、今では考えられませんが国土交通省の仕事などできるわけがないと考えていました。(一個人としてですが)
それが、後に判明しますが「今からは地元コンサルを育成して地域に密着し、事業を推進させる…」と言うような中村河川国道事務所の方針から、中村宿毛道路の森沢から平田間(約9.0㎞)を4区間に分けて、昭和63年7月に道路詳細設計が発注されました。その4区間を大手コンサル2社、当社を含めた地元コンサル2社がそれぞれ受注し詳細設計を行うこととなりました。確か、当社の管理技術者は右城代表取締役社長で、主担当が明坂取締役ではなかったかと思います。
その業務の総括打合せは4社合同協議で行われ、その中で発注者より「大手コンサルにご教授してもらいながら作業を進めるように…」と言った趣旨を言われたことを記憶しています。
実務にあたっては、当時はパソコンもなく図面は製図台(ドラフター)を使ってすべて手書きです。そのため、打合せ時には等倍の図面を青焼きしてどっさり持って行ったものです。また、打合せで計画が少し変更になると今ではCADで比較的簡単に修正できますが、当時はなにせ手書きのため、変更がないように一生懸命「もがいた(説得)」ものです。
今思えば、一つの道路設計を完了するために発注者と「侃々諤々」じゃあないですが、一体となって造っていった感じがあり、そこから強い信頼関係が生まれたように思います。
4.中村宿毛道路とともに…
成果品は担当者の努力の賜ですが、中村河川国道事務所(担当者)に認められ、大変高い評価(4社の中で最も良い評価)を受け以後の当社の実績に繋がっていく、当社において最も影響があった重要な路線であり「中村宿毛道路に育ててもらった」と言っても過言ではないと思います。特に幡多支店においては、その後四半世紀、この中村宿毛道路と苦楽を共に成長してきたと思います。
今後もこの道路が少しずつ出来上がっていく様を身近で実感し、無事全区間供用するまで見守っていきたいと思います。
■業務名:藤地区ふるさと農道緊急整備測量設計委託業務(平成11年)
■発注者:中村耕地事務所
業務の概要
本道路は後川中流域に位置し、周辺は農業の盛んな地域ではあるが、道路が未整備のため、後川により地域が東西に分断されている。ここに連結する交通路を整備することにより、分散した団地を有機的に連結させ、近代的で活力ある高生産農業地域を構築していくものである。
整備計画に当たっては、周辺環境が豊かであることや、近年の自然環境の保全への要請から、生態系調査の実施や景観設計を行いながら、自然環境保全を考慮した路線とした。
内訳:測量、生態系調査(道路環境調査[植物・動物]陸上植物、ほ乳類、両生及び爬虫類、昆虫類、鳥類、魚介類[秋、冬、春、夏])、景観設計、農道設計530m(小橋梁実施設計)、橋梁基本設計150m(護岸予備含む)、用地調査 委託額合計約63,000千円
道路構造規格は3種4級、幅員全福は8.95m(2@2.75+2.0片側歩道)、設計速度は30㎞である。路側の盛土の裏面は、生態系や環境に配慮し植栽が可能なジオテキスタイルの補強土を採用した。側溝は、小動物が落ちても這い上がれるよう側壁を緩勾配とし、自然石張りとした。防護柵は景観を考慮して、ガードケーブルを採用した。
トンネル抗口は、景観を考慮し竹割り型を採用した。橋梁は、河川条件や景観を考慮して3径間連続箱桁橋を採用した。なお、生態系に配慮して道路照明は省略することとした。
■業務名:平成10年度 県道高知東インター線道路測量・設計委託業務
平成18年度 県道高知東インター線道路改築道路詳細修正設計委託業務
平成20年度 県道高知東インター線道路改築路側構造物修正設計委託業 務等
■発注者:高知県高知土木事務所・中央東土木事務所
業務の概要
県道高知東インター線は、県道仁井田竹中線(南国市稲生)を起点とし、一般国道32・55号(高知市介良)に至る延長1.7kmの補助幹線道路です。
当該路線は、高知東部自動車道(高知南国道路)の高知東IC(仮称)と周辺の幹線道路との連結を目的とした新設道路で、平成25年8月に全線開通となりました。
弊社では、当該路線の道路予備設計、道路実施設計、交差点設計、構造物設計のほか、道路標識や照明などの道路付属構造物の設計を行いました。計画地は国道195号と同様に平成10年の高知豪雨による浸水被害を受けており、避溢ボックスなどによる排水対策の強化を行いました。
また、交通量の多い国道32・55号との交差点設計では、国道交通への影響に配慮した交差点解析や施工計画を行うとともに、信号機の移設計画、情報ボックス移設計画、道路標識の計画も行いました。道路標識の支柱は、国道部の拡幅で撤去した支柱を移設し、コスト縮減を図りました。
業務名:平成16年度 国道439号道路改築詳細設計委託業務
平成20年度 国道439号道路改築道路修正設計委託業務
平成25年度 国道439号測量設計委託業務 等
発注者:高知県中央西土木事務所
業務の概要
一般国道439号は徳島県徳島市を起点とし、大豊町、本山町、土佐町、いの町、仁淀川町、津野町等を経由して、高知県四万十市に通じる重要な補助国道です。
弊社では、いの町工区のうち小川工区~大峠工区の道路、構造物及び橋梁設計等を行い、平成25年2月に大峠工区が供用されました。これに伴い国道439号いの町区間(L=27km)が全線開通となりました。
計画地は急峻な山岳地であり、狭い現道と河川が併走する区間であったことから、河川への影響を避けつつ、現道利用が可能な区間、トンネル・橋梁等によるバイパス区間を設定しました。区間設定後には、構造物の抑制によるコスト縮減や現道交通を確保した施工計画等に配慮した計画を行いました。
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