社長語録
2021年 年頭の挨拶(2021年1月4日)

1.はじめに

皆さん、新年あけましておめでとうございます。

今年はコロナ禍でありましたが、天気に恵まれ穏やかな良い正月を過ごされたことと思います。

年頭にあたりまして、昨年の印象に残っていること、そしてこれからのことについてお話しさせていただきます。

 

2.昨年を振り返って

2.1 新型コロナウイルス

昨年で最も印象に残っていることは、新型コロナウイルスです。中国の武漢で発見されたのが、一昨年の12月でした。昨年は、全世界が新型コロナウイルスに翻弄された1年でした。

年末の報道記事によると、JTB、ANAの受注額は前年の9割減になり、ボーナスはゼロ、給与は3割減で、40歳以上の社員には早期希望退職を募っているとのことです。

2020年卒の就職人気企業ランキングで、文系トップがJTB、2番がANAでした。「世の中一寸先は、闇」という言葉がありますが、万が一のことを考えて常に備えをしておかなければならないと改めて思いました。

新型コロナで感じたことが、もう一つあります。働き方が猛スピードで変化し始めたことです。

私は、日本技術士会の理事会に出席するため、2カ月に一回の頻度で東京へ行っていましたが、コロナ騒動以降はすべてWEB会議になりました。講習会もオンラインになりました。移動の時間ロスがなくなり、旅費・宿泊費が不要になりました。コロナが収束しても、この働き方が元に戻ることはないと思われます。むしろ、加速されていくことでしょう。

新型コロナウイルスは、ルネッサンスや産業革命に匹敵するような大きな社会変革をもたらすと言われています。変革期は守りに入れば危機ですが、攻めるには好機となります。

私は、第一コンサルタンツが四国ナンバーワンのコンサルタントに飛躍できるチャンスが来たと思っています。しかし、これまでの常識や慣習に捕らわれていたらチャンスを掴むことができません。斬新な発想力、失敗を恐れない決断力と行動力が必要です。

新しい時代の波に乗り遅れることがないよう、積極的に設備投資をします。良い情報、良いアイディアがあればどんどん提案してください。

 

2.2 橋梁模型コンテスト

2つ目は、橋梁模型コンテストです。昨年の12月20日、高知みらい科学館で高校生橋梁模型コンテストがあり、全国から7校13チームの出場がありました。この中には、高知工業高等学校定時制や京都工学院高等科学校のように全国コンテストで社会人チームを破り優勝するような強豪チームも含まれています。そこへ、わが社から3チームがオープンの形で参加しました。

わが社がこのコンテストに参加するのは4度目です。これまでは恥ずかしい結果に終わっていました。ところが今回は、わが社のAチームが1位、Bチームが3位、Cチームが7位という好成績を収めました。Cチームも単純な製作ミスさえなければ、Aチームを破って1位になれた可能性があります。それほどわが社の模型は、レベルの高いものでした。

審査の評価項目で大きなウエイトを占めるのは、模型の耐荷力を重量で割った軽量指数です。Aチームの軽量指数は525点で2位の高知工業高校定時制Aチームの416点を大きく上回りました。過去の最高は300点でした。Aチームのレベルの高さが分かると思います。

Aチームの模型はハウトラス橋でした。骨組み解析、模型作成、載荷試験を何度も繰り返し、材料特性と構造特性を極限まで突き詰めてムダをそぎ落とし、驚異的な軽さと美しさを実現した素晴らしい作品でした。

優勝するにはどこまで軽くしなければならないか目標を定め、改善を繰り返した結果です。この手法はいろいろな場面で使えます。業務評定点を上げる、資格試験に合格するなどに活かして下さい。

毎年大阪で、全国の大学、高校、建設会社、橋梁メーカー、コンサルタントが出場する「近畿橋梁模型製作コンテスト」が開催されています。今年は、これに参加し、第一コンサルタンツの存在を全国にアピールすることを期待しています。

 

2.3 O社を他山の石に

年末に耳を疑うようなニュースが飛び込んで来ました。国土交通省の四国地整管内において、O社が3ヶ月間の指名停止になったという話です。

指名停止の原因は、「令和元年度 徳島管内道路構造物外点検業務」で不正があったというものです。国総研が、大型カルバートとシェッドの変状の進行を把握するため、平成26年度の点検調書と比較したところ、全く同じ内容であることが判明し、担当技術者も不正を認めたということです。

大型カルバートやシェッドの点検は、高所作業車を使って打音や触診などの詳細調査を行う必要がありますが、下請けを確保できず高所作業車も手配できなかったため、不正を働いたようです。

O社といえば年間売上高500億円、東証一部上場の大企業です。ホームページを見ると、「法令を順守し、倫理観と良識を持って誠実に事業活動を行います」ということを経営方針に掲げています。

今回の行為は、詐欺そのものです。一人の社員が、長年かかって積み上げてきた信用を、一辺に吹き飛ばしました。信用を失うのは一瞬ですが、信用を取り戻すには長い時間が掛かります。

これは他人ごとではありません。わが社でも40年くらい前に、似たような不正をしています。その自治体からは30年間以上、指名をいただくことができませんでした。

不正を働いた社員は解雇されたようですが、問題を担当者一人で抱え混まなければならない状況にあったのではないか、風通しの良い組織であればこのような事件は起きなかったのではないか、と考えさせられる事件でした。

O社の不正を「他山の石」として受け止め、常に社訓の「誠実」を心掛けるようにして下さい。

 

3.社員採用に対する考え方

私は新卒者を積極的に採用してきました。社長就任当時、社員数は約70人でしたが、昨年の4月には2倍の142人となっています。今年の4月には、6人が入社します。3人はミャンマー人です。ミャンマー海事大学卒が2人、ヤンゴン工科大学修士課程修了が1人です。

昨年4月から地盤技術部に地質調査課を立ち上げました。現在、5人で業務に当たっていますが、ボーリングマンシン3台を効率よく稼働させるには、2~3人不足しています。早急に採用したいと考えています。

社員を増やせば費用が掛かります。「コロナ禍で先が見えない中、社員を増やすのはリスクが大き過ぎる」という意見があることも承知しています。

私が、新卒者の採用に力を入れているのには、いくつかの理由があります。最後に、そのことについて説明をします。

1つは、社員の残業時間を減すためです。数年前より残業時間の削減に取り組んでいますが、社員の健康とライフワークバランスを考えると、まだ十分ではありません。36協定の月最大75時間を目標にしていますが、将来的には月最大を45時間にしたいと思っています。

2つは、地域のコミュニティを守るためです。高知県では毎年、人口が7千人減少し、地域社会を維持することができなくなっています。介良野地区でも、わが社の社員がいないと田役や御神輿を担ぐことができなくなっています。

7千人内の5千人は自然減ですが、2千人は若者の県外流出です。就職先を求めて若者が県外へ出るのを少しでも食い止めたいと考えています。

3つは、少子化に向けて先手を打つためです。社員を雇用すれば費用が掛かりますが、費用以上に稼いでくれれば資産になります。私は、社員はかけがえのない会社の資産だと考えています。

今はなんとか10人近い採用ができています。しかし近い将来には、採用が厳しい時代が来ます。

数年前より、「新卒者を採用したいが応募してくれない」という話が聞かれるようになりました。地方公務員でさえも応募が少なくて困っていると言われます。

D社は、売上高2兆円の建設会社ですが、1,300名募集して今年度に採用できたのはその半分であったそうです。大卒を採れないので、来年からは高卒者を採用し、給料を出して2年間専門学校に通わせるようです。大企業でさえも応募者が集まらないのが現実です。

この原因ははっきりしています。少子化で学生数が減少しているのに加え、理科離れで工学部への進学者が減っているためです。これからは、新卒者の採用がさらに厳しくなります。

そうなる前に、若者が殺到してくれるような魅力ある企業にしておかなくてはと考えています。

 

4.おわりに

最後になりますが、飲食業や宿泊業界、観光業界は、新型コロナの影響で仕事が激減していますが、幸いなことに我々の業界は仕事に恵まれています。

「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」が2020年度で終わりますが、2021年度からは、予算規模15兆円の「防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速対策」がスタートします。

現状に甘んじることなく、常に高い目標を掲げ、その達成に向けて努力を継続することが大事だと考えています。

冒頭に、高野光二郎参議院議員からご挨拶をいただきましたが、その中で「筋トレによって体力を付ける」「塾に通ってデジタル化と英語能力を高める」という今年の目標が紹介されました。高い目標があるから努力が出来るのだと思います。

私の今年の目標は、「日新日々新」(日新たに、日々新たなり)です。昨日より今日、今日より明日と日々成長するように精進することです。私は昨年古希を迎え、人生の最終章に入りました。悔いを残さないよう残された日々をこれまで以上に有意義に使いたいと思っています。

皆様にとりまして希望に満ちた年になりますことを心から願いまして、年頭の挨拶とします。