平成23年9月の台風12号により紀伊半島で大規模な深層崩壊とそれに伴う河道閉塞が発生しました。国土交通省では紀伊山地砂防事務所を設置し、天然ダムの決壊など二次災害の危険のある箇所について緊急的な砂防事業を実施しているところです。
今回、紀伊山地砂防事務所のご厚意により、五條市から十津川村に位置する3箇所の深層崩壊の現場を視察する機会をいただきました。参加したのは高知県の地質技術者を主体とした14名で、弊社からは設計3課の西川と奥村が参加させていただきました。
視察した斜面のうち、最も大規模な深層崩壊が発生した赤谷地区は、その崩壊規模が幅460m、高さ600m、崩壊土量940万m3であり、現地で見たその崩壊斜面は想像を絶する規模でした。これまで緊急対策として天然ダム決壊を防止するために仮排水路を施工するが、何度もその後の豪雨により破壊され、その対策にかなりの苦労をされていました。
最終的な対策工は、河道部が基幹堰堤工、床固工、排水路工、崩壊斜面が排土整形+緑化工を主体とされていました。
高知県は、紀伊半島と同様の地形地質と気象条件を有しているとともに、南海トラフ巨大地震の発生が危惧されており、同等規模の深層崩壊が発生する可能性がある。今回の現地視察により、深層崩壊とそれに伴う河道閉塞の対応を極僅かであるがイメージすることができたと思います。
最後に紀伊山地砂防事務所長,職員や工事関係者の方々には、対策事業の最盛期にも関わらず詳細な事業説明と現地案内をしていただき、深く御礼申し上げます。
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