GISを用いた災害災害時における受援体制構築

■業務名:平成21年度 災害時における受援体制検討業務委託

■発注者:国土交通省四国技術事務所

業務の概要                             

 本業務は、四国地方整備局管内において重大な災害が発生した場合、全国各地から派遣される緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)等の迅速な受け入れと、効率的な配置検討及び被災地の地理に不慣れな応援部隊が効率的な災害対策活動を行う上で必要な地図や活動拠点、宿泊施設等の基礎情報について、迅速なデータ提供を行うため、GISにより四国全域の空間データを作成し支援システムを開発したものです。    本業務で作成したデータは、無償版GISに搭載し、発注者より四国内の各県及び各市町村に配布されています。

<システムの主な機能>
①災害時に使用可能な施設の選定 ②災害時に必要な地図を瞬時に出力する機能(定形印刷)
③受援部隊等の移動経路を設定する機能 ④活動範囲の設定および進捗管理機能
⑤空間検索やデータ絞込機能 ⑥地図上で指定した位置の座標、距離、面積の取得機能
⑦データ更新機能(背景図、基本地図、受援施設等)
<主なデータ>
①数値地図50mメッシュ(標高)、25000・50000・200000(地図画像)、25000(海岸線・行政界)
②DRM(道路・鉄道データ) ③国土交通省直轄管理の道路距離標・河川距離標・港湾海岸施設
④受援施設(作業拠点、前線基地、宿泊施設、内閣府活動拠点)
⑤生活関連施設(道の駅、病院、コンビニエンスストアー、コインランドリー)

 本業務は、簡易公募型プロポーザル方式で発注され、5社が選定に残っていました。国土交通省のシステム開発が伴うGIS業務は、地元コンサルである弊社には非常にハードルの高い案件でした。
 提案書の作成にあたって特記仕様書の内容を紐解くのに大変苦労しましが、提案書で(実施方針28/30点、特定テーマ120/120点)満点に近い高評価をいただき弊社が特定されました。正直ビックリしました。
 その結果、受注当初から表彰を目指すことと、何より最大評価していただいた発注者の期待に応えることが最大の目標となりました。
 業務の実施にあたっては、まず発注者の不安を取り除くため、GISのデモを行い弊社の技術力を認識していただきました。早い段階で提案内容を部分的に具体化し、完成成果のイメージを共有しました。発注者のニーズを的確に捉え、要求事項に対してはそれ以上の性能の提供に努めました。

 その結果、発注者にも満足いただき、国土交通行政関係功労者表彰において優良業務表彰(局長表彰)を受賞しました。

森林情報管理システムの構築

 

■業務名:森林情報管理システム整備委託業務(平成13年度)

■発注者:高知県

業務の概要                             

 平成13年7月の森林法の一部改正に伴い、森林ゾーニングの手法が見直され、これを受けて、高知県の森林ゾーニングの見直しが必要となりました。森林ゾーニングには非常に膨大なデータを扱う必要があり、これまでマイラー図面で管理していた森林計画図をデータ化し、GISにより森林ゾーニングを実施しました。
 森林ゾーニングにあたっては、高知県で管理する森林計画図をスキャニング補正し、マップデジタイズにより林・小班ポリゴン、林道データを作成しました。
作成したデータを基に「ゾーニング手法」に従い「人工林の成熟度」「地利級」「地位級」「傾斜」「作業履歴」の各個別評価及び総合評価を行い、森林ゾーニング(①資源の循環利用林 ②資源の循環利用林(水土保全林(活用型))③水土保全林(保全型)④森林と人との共生林)を行いました。
 また、作成したデータの有効利用と今後の森林情報及びゾーニングの更新・管理を行うため、GISにより「森林情報管理システム」を開発し、本庁および出先6林業事務所に設置しました。

◆空間データ整備
 高知県全域:森林計画図 783枚、小班ポリゴン 約2万7千件、森林簿 約69万件
◆森林情報管理システム

<システムの主な機能>
①森林ゾーニングの更新 ②施業履歴の登録・更新 ③森林資源構成表の作成
④主題図の設定 ⑤各種データの空間検索・抽出 ⑥各種図面や帳票の出力
⑦指定の範囲を縮尺・解像度を指定して画像データを出力

 当時はGISが普及し始めた頃で、高知県においてはGIS業務の前例が少なかった。全国的には失敗事例が多くあり、地元コンサルで可能か? 発注者の担当者も大きな不安を抱えていました。
 弊社では平成11年よりGISを導入し、空間データ整備とツールプログラムの作成経験があり、ある程度の自信を持っていましが、こんな大規模な空間データ整備とシステム開発を1年間で仕上げることが可能か不安はありました。空間データ整備は順調に進みましたが、本格的なGISのシステム開発は初めてで、失敗しない(必ず使えるシステムとする)ため発注者と幾度も仕様の打合せとインターフェースの確認を行い、動作テストを繰り返し試行錯誤の結果、多くの工数を要しましたが何とか完成しました。完成したシステムは発注者の要望する機能と操作性をほぼ満足させることができました。