創業61周年記念日の社長挨拶(2024/11/29)

1.はじめに

第一コンサルタンツは今日、61周年を迎えました。この61年間には、危機的な状況に直面したこともありましたが、それを乗り越え、高知県下トップクラスの優良企業として成長しました。これはひとえに社員の皆様のお陰であります。心より感謝申し上げます。

しかし、最近気になることがあります。昨年度の四国地方整備局の業務評定点が平均点以下でした。このため、局長表彰や事務所長表彰を受賞できませんでした。さらに、今年度の資格試験では、測量士試験に受験した4名全員が不合格、技術士試験では26名が受験し、筆記試験合格者は1名のみという結果でした。

このままでは、県内の同業他社に追い抜かれてしまいます。また、四国の上位会社からは、どんどん引き離されます。現状に満足せず、さらなる成長を目指さなければなりません。

現在、世の中は幕末や戦後と並ぶ大きな変革期にあります。建設コンサルタント業界の将来を見据え、100年企業として生き残るための戦略を考える時期です。

今日は、建設コンサルタントの将来、第一コンサルタンツの目指す方向、社員の皆さんに期待することの3点について、私の思いをお話しさせていただきます。

2.建設コンサルタントの将来

建設コンサルタント業界の将来ですが、生存競争が激化し、技術力のない企業は淘汰される時代がくると予測されます。

今年を振り返りますと、1月1日に能登半島地震がありました。関連死を含めると、400名を超える人が亡くなりました。8月には日向灘で地震があり、初めて南海トラフ地震臨時情報が発令されました。

今年の夏には、線状降水帯による豪雨災害が全国各地で発生しました。四国では7月に松山城の斜面が崩壊し、3名が亡くなりました。

地殻変動や気候変動によって自然災害のリスクが高まっています。そうした中で、社会インフラの老朽化も進んでいます。コンサルタントの仕事は今後も確実に増えることでしょう。

しかし一方で、人口減少が大きな社会問題になっています。災害復旧費やインフラの維持管理費、医療費は増える一方ですが、働き手が不足し、お金を稼ぐ人が減少するという危機的状況にあります。

労働人口が減少すれば国内生産は減少します。国内生産を維持するためには労働生産性を上げる必要がありますが、日本の労働生産性はOECD(経済協力開発機構)加盟38カ国の中で31番目です。

日本の生産性が低い原因は、中小企業など弱者を守ることを最優先させ、企業間競争やイノベーションが起きにくい政策をとってきたことにあります。

国土交通省は、2040年までに建設現場の省人化3割、生産性1.5倍を目標としています。今後、建設コンサルタント業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、様々な分野でイノベーションが起き、競争が激化すると予想されます。

共存共栄の時代は終わります。競争に敗れた企業は淘汰され、業界の再編が起きるでしょう。例えば、運送業界ではクロネコヤマトや佐川急便、小売サービス業界ではコンビニが勝ち残っているように、建設コンサルタント業界もやがて同様になると予想されます。

最近のニュースでは、東京海上日動火災保険が日本最大の建設コンサルタンツ会社である日本工営とそのグループ会社を980億円で買収し始めたと報じられています。今後、M&Aは急速に増えると思われます。

3.第一コンサルタンツの目指す方向

当社は、業務の95%を官公庁に依存しています。四国地方整備局と高知県内の地方公共団体の委託業務です。

今後、労働人口の減少で国内生産が落ち込みます。高齢化が進み、福利厚生費が増えれば、公共事業費を増やすことは難しいと思います。北朝鮮危機と台湾有事に備えて防衛予算が増加することを考えれば、現状の維持さえ難しいと思います。

各県の業務発注は地元を優先する方向にあります。市場を県外へ拡大することは一層難しくなります。四国地方整備局の業務を受注するには技術資格、表彰、成績評定点など技術力がますます重視される傾向にあります。

当社が成長を続けるためには、現状の市場で官公庁からの受注をさらに伸ばすことは当然ですが、能登半島地震災害復旧業務を足掛かりにして、民間企業からの受注を伸ばすことや、ジェイウインドの風力発電関係の測量・地質調査業務を足掛かりにして、再生可能エネルギー開発などの分野にも進出する必要があります。そのためには、業務処理の高度化と効率化を図り、どこにも負けない技術を身につける必要があります。

高知には、サイレントパイラーを製造販売している「技研製作所」、基礎杭の施工を専門にしている「高知丸高」という会社があります。技研製作所は売上が300億円、高知丸高は70億円の会社ですが、20%の経常利益率を出しています。建設会社の平均は4~5%です。どこもマネができない独自の技術を持っていれば、高収益を生み出すことができるのです。当社も、どこにも負けない技術を身につけるようにしましょう。

4.社員の皆さんに期待すること

私はこれまで、世の中で成功している人は、天性の才能があって運に恵まれた人であると思っていました。しかし、最近、レスリングの桜井優史監督や7本指のピアニスト西川梧平氏の話を聞いて、才能に恵まれなくても努力をすれば、誰でも運を引き寄せ、成功できると気付きました。

桜井監督はオリンピックの金メダリストや世界選手権で優勝する選手を何人も育てていますが、いずれも自分の子どもや近所の子供、高知の子供たちです。才能のある子供を全国から集めて指導しているのではありません。

ピアニストの西川悟平氏は、「あり得ないような大きな夢でも、夢が叶ったときの自分をイメージし、諦めることなくそのことを口に出して努力を続けていると奇跡が起きて夢が実現する」と話していました。

成功している人に共通していることがあります。

  • 一つ目は、逆境や苦難を乗り越えていることです。
  • 二つ目は、専門分野を絞り込み、そこに時間とエネルギーを集中させていることです。
  • 三つ目は、目標を公言し、誰にも負けない努力をしていることです。

皆さん一人ひとりが、「この分野では誰にも負けない」と言われるような人になってください。そうすれば、会社は自ずと成長し、日本一になります。

5.創立60周年記念利益還元

当社では、「利益は、社員に還元する」ことを経営方針に掲げています。利益の1/3を税金、1/3を賞与、残りの1/3を内部留保することを2013(平成25)年度から実行しています。

令和4年度は利益の36%に当たる2.7億円を賞与として支給し、利益の35%に当たる2.6億円を内部留保としました。その結果、令和4年度末時点での純資産は約23億円になっています。これは誰のものかと言えば、法律上は株主のものです。

私は、会社は社員のものでなければならないと考えています。社員が一生懸命働いて貯めた財産を株主だけのものにするのは不公平です。公平にするには、社員に株主になってもらう以外にありません。このように考えて平成22年に社員持株制度をつくり、社員でも自社株式を持てるようにしました。

6.おわりに

今日は創立記念日でありますので、建設コンサルタントの将来、第一コンサルタンツの目指す方向、社員の皆さんに期待することについて、私の思いをお話しさせていただきました。

61周年を迎えることができましたのは、社員、そしていつも支えてくれているご家族のお陰でございます。

感謝の気持ちとして、「たまごファミリー」のバームクーヘンを用意しています。ご家族と一緒に召し上がってください。

社員の皆様の今後益々の活躍とご家族の幸せを念じて61周年の挨拶といたします。

 

令和6年11月29日(金 )

社長 右城猛

令和6年入社式 社長訓示(2024年4月1日)

今日から令和6年度がスタートします。昨年は当社にとって創立60周年という節目の年でありました。60周年記念誌に、社員全員が「10年後の夢」を書いています。私は、「売上げが100億円を突破し、500名の強者が業界日本一の1000億円企業を目指して邁進している会社」と書きました。今年は70周年に向けて第一歩を踏み出すスタートの年であります。

このような記念すべき年に、私たちと志を同じにする8名の皆さんに入社していただきました。そして、昨年完成したばかりのこのタイガーホールで入社式をこのように執り行うことができますことは、誠に感無量であります。

今年の新入社員の皆さんは、8人それぞれが三者三様の傑出した才能を持っておられます。百万の味方を得た思いがしています。10年を待たずして目標の100億円を達成することができるのではないかと私の気持ちが高ぶっています。

来賓として、日頃当社が大変お世話になっている高知県議会議員の三石文隆(ふみたか)先生と久保博道先生にご臨席を賜っております。お忙しい中、誠にありがとうございます。

来年入社を内定させていただいている学生さんが6名います。今日はその中の5名が出席してくれています。第一コンサルタンツが働きがいのある会社かどうか、夢を実現できる会社かどうか、人生をかけるのに値する会社かどうか、じっくりと見定めてください。

 

高知県出身者に小谷誠という脳科学者がいます。東京電機大学5代目の学長をされた方です。50年間の脳科学の研究で分かったことを本にされています。少し紹介させていただきます。

記憶力に関係する脳細胞は20歳過ぎにピークを迎え、それから徐々に衰えていくそうです。新しい現象を発明する能力やアイディアを出す能力は30歳を過ぎた頃にピークを迎え、その後ゆっくりと減少し、40歳になると脳細胞が死滅し始めるそうです。

将来に大きな夢と希望を持って、目標に向かってコツコツと努力をする習慣をつければ、脳細胞が活発に活動するようになる、とも述べられています。

中国の漢詩に、「少年老い易く 学成り難し 一寸の光陰 軽んずべからず」という教えがあります。若いうちは、まだ先があると思って勉強に必死になれません。しかし、すぐに年月が過ぎ去り、何も学べないまま終わってしまう。少しの時間も無駄にすることなく、勉学に励まなければならない、という教えであります。

 

皆さんの未来は、これからの10年の行動で決まります。学校の勉強からやっと解放された、これからはのんびりしたいと思っていることと思います。社会人になれば、誰からも行動を強制されることはありません。勉強するかしないかは本人の自由です。しかし、これだけは覚えておいてください。仕事の合間のわずかな時間をどのように使うかで人生は決まります。

皆さんが第一コンサルタンツに入社した以上は、立派な技術者になっていただきたい、この分野ならあの人に勝る人はいないと言われるような技術者になっていただきたいと願っています。10年以内に技術士などの資格を取得し、一人前の技術者になることを目標に努力して下さい。

人生は山登りのようなものです。高い所にいけば見える景色が変わってきます。頂上に近づくにしたがって、仕事がこんなにも面白いものかと実感するようになります。悔いの残らない二十代を送るようにしてください。

 

入社式の後で、お二人に特別講演をしていただきます。一人は当社取締役の矢田部龍一相談役です。「土木技術者の気概」と題してお話しをしていただきます。

もう一人は、ジャーナリストの依光隆明氏です。「考えることは生きること」と題してお話しをしていただきます。

皆さんのこれからの人生において、参考になる話しが聞けると思います。

新入社員の皆さんの今後の活躍を期待しまして歓迎の挨拶と致します。

2024年 年頭の挨拶(2024年1月4日)

新年明けましておめでとうございます。年頭に当たりご挨拶を申し上げます。

皆さんは穏やかなお正月を迎えることができたでしょうか。私は、年末の30日からベトナムに行っていました。そして昨日の午後、高知へ帰ってきました。

少し過去を振り返りながら、第一コンサルタンツの今後の経営について正月に私が考えたことについてお話しさせていただきます。

 

昨年は第一コンサルタンツにとって創立60周年という節目の年でした。

会社の玄関脇に2本のポールを立てて国旗と社旗を掲揚しています。また、タイガーホールの前の壁にも掲げています。社旗を作ったのは創立50周年のときです。「日本一を目指すには旗印がいる」そう思って作りました。

皆さんの協力のお陰で、売上げを10年間で2倍に伸ばすことができました。この間、平成27(2015)年に本社を高須から介良に新築移転し、平成30(2018)年には社員と家族でヨーロッパ旅行を楽しみました。

60周年の昨年は、5月にカナダ、北海道、アメリカへ旅行、6月には福利厚生棟が完成し、9月には祝賀会、11月には記念誌の発行を行うことができました。社会貢献としては、高知県が発行しているグリーンボンドに1億円の投資をしました。また、毎年、当社の発展を祈願している土佐神社には、100万円を寄付致しました。

「禍福は糾える縄の如し」という言葉があります。良いことがいつまでも続きません。一昨年の10月に公正取引委員会の立ち入り検査がありました。それから会社の運気が一気に下ったように思います。昨年は高知県から12カ月の指名停止処分を受けました。私が社長に就任した平成19(2007)年以降、売上げは15年間ずっと右肩上がりで伸びていました。しかし、今年度と来年度は、指名停止の影響で大幅に落ち込むと予想しています。

 

今年の干支は辰です。ベトナムでは、竜は古来より成功や発展の象徴として、縁起がよいとされています。寺院は勿論のこと、いろいろな場所に竜の彫刻や象が置かれており、そこに人がたくさん集まっています。

ダナンのハン川には、ドラゴン橋と呼ばれる橋長700mくらいの5径間アーチ橋が架っています。アーチが竜の形をしており、夜になると橋の色が5分ごとに青、緑、黄、赤と4色に変わり、9時になると、竜が口から炎を吐き出すショーが始まります。それを見るために、世界中からたくさんの観光客が集まって来ています。

ダナンの五行山は大理石でできた山ですが、そこの法面には頭が9個ある竜(九頭竜)が彫刻されています。九頭竜は金運、商売繁盛、縁結びにご利益があると言われています。

今年は辰年なので、なんとか落ち込んでいる第一コンサルタンツの運気を高めたいという思いで、正月休みを利用してベトナムのダナンに行ってきました。

元旦の夕方、ホテルに帰ってテレビをつけると、能登半島で震度7の地震が発生し、斜面崩壊、地盤の液状化、家屋倒壊、それに伴う火災が発生し、多数の犠牲者がでているというニュースが流れていました。

翌日も観光して夕方ホテルに帰ると、羽田空港に着陸していた日本航空の旅客機と離陸のために滑走路を移動していた海上保安庁の飛行機が衝突し、炎上したというニュースが飛び込んで来ました。

一年の計は元旦にありと言われます。災害の年の幕開けではないか、令和6年度はかつてない災害の年になるのではないかと思ったことでした。テレビのニュースを見ながら考えたことをこれからお話しします。日本人は有史以来、自然災害と戦いながら技術を磨き、知恵を付けてきました。

 

第一コンサルタンツは、「高知を地震・災害から守る」をミッションに掲げています。しかし、地震の被災地を視察したことはあっても、災害の調査や復旧設計の経験はありません。南海トラフ地震がきたとき、本当に対応ができるだろうかと思いました。

災害調査や復旧設計をするのは地元企業の役割です。しかし、能登半島地震のように規模が大きい災害の場合には、県外企業の助けが必要なはずです。幸いわが社は石川県に懇意にしていただいているコンサルタント会社があります。また、わが社は指名停止中であるため余力があります。能登半島地震は、第一コンサルタンツが地震災害対応のための技術力を磨くのに絶好の機会になるはずです。

このように考えれば、辰年は第一コンサルタンツにとってチャンスの年です。チャンスを掴めるかどうかは皆さんの努力にかかっています。今年は、社員全員で頑張り、難局を乗り切りましょう。

 

2日の航空機事故を見たときには、羽田の滑走路が使用できないだろう、そうなれば予定通り3日に高知に帰ることは無理だろうと思いました。3日の日も羽田空港の発着便は150便ほどが欠航していました。しかし高知便は、40分遅れはしたもの出発し、無事高知へ帰ることができました。もし、航空機事故が1日遅れていれば、高知便が欠航していれば、皆さんの前で年頭の挨拶はできませんでした。新年を迎えて元の運気が戻ってきたと思ったことでした。

私の好きな言葉に、「竜となれ、雲自ずと来る」というのがあります。高い志を持って必死で行動しておれば、仲間や資金が自然と集まってきて願いが叶うという意味です。

竜になるには登竜門を突破しなければなりません。技術士試験という登竜門もあります。皆さんでそれぞれ目標を決め、その登竜門を突破してください。そして全員が竜になれるように頑張りましょう。

 

令和6年が第一コンサルタンツの飛躍の年になることと、社員の皆さんが健康で幸せな年になることを記念して年頭の挨拶といたします。

創業60周年記念の挨拶(2023/11/29)

1.はじめに

今日、第一コンサルタンツは満60歳になりました。

県内の測量設計会社でわが社より歴史が古いのは、昭和32年創業の都市開発コンサルタントと昭和38年創業のアンプルの2社です。四国測量もありましたが、この会社は20年ほど前に廃業しています。

企業の平均寿命が30年と言われています。我々の業界はどうであろうかと思って、少し調べて見ました。

高知県測量設計業協会が、平成8年に20周年記念誌を発刊しています。それを見ると会員は39社です。27年経った現在、残っているのは半分以下の18社です。17社は廃業し4社は退会しています。

我々の仕事は、発注者が官公庁なので倒産のリスクは少ないと思われがちです。しかし、決してそうではないことが分かります。

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言があります。また、「自国の歴史を忘れた民族は滅びる」とも言われています。今日は、当社の60年間の歴史を振り返ってみたいとおもいます。

2.ピンチをチャンスに

当社は、昭和38年11月29日に、第一測量有限会社として設立されました。昭和46年に高知工業高等学校を定年退職した石川貴泉先生を社長に迎え、社名を株式会社第一測量設計コンサルタントに変更しました。

私が入社したのは昭和61年ですが、その頃には「第一測量」と呼ばれていました。

「測量の第一、設計のサン」と言われ、当社は測量専門会社のイメージでした。

サン土木コンサルタントは、当社より11年後発ですが、創業者の公文重徳社長が橋梁メーカーの出身であり、PC橋の設計施工に詳しい方でした。また、会長の村山保先生は技術士の資格を持っていました。このようなことから、橋梁の設計ならサン土木と言われていました。

私が入社して最初に提案させてもらったのが、社名を変えることでした。設計コンサルタントであることを強調するため、測量と言うことばを無くして、「第一コンサルタンツ」に変えました。

私が入社して37年が経ちます。37年間を振り返って見ますと、何度か大きなピンチに遭遇してきました。

1度目は私が入社した年です。経営は破綻状態にありました。原因は創業者でオーナー経営者であった矢野利男社長の放漫経営でした。会社を存続させるには、M&A以外に選択肢はなかったと思います。会社の経営権を大手の同業社に譲渡しました。

2度目は、私が社長に就任した平成19年前後です。国の公共事業予算がピーク時の1/2まで落ち込み、会社の売上げもピーク時の半分まで減り、営業損益が赤字になっていました。

そして3度目が今回です。60歳は人間の厄年です。まさか会社にも厄年があるとは思いもよりませんでした。

当社にとって昨年が前厄、今年が本厄に当たります。来年が後厄です。前厄の昨年、公正取引委員会の調査が入りました。本厄の今年は高知県、県内市町村、四国地方整備局などから指名停止処分の通告を受けました。指名停止は後厄の来年8月15日まで続きます。

今年度の売上げは19億円、来年度は17億円になると予測しています。売上げは大幅に落ち込みますが、夏2.5カ月、冬2.5カ月の賞与は支給致します。

今回の指名停止は、まったく予想をしておりませんでした。経営に対するダメージは非常に大きいと思っています。しかしながら、過去2回のピンチとは大きく異なる点が3つあります。

1つ目は、出口がハッキリ見えていることです。来年の8月15日ですべての指名停止期間が終わります。

2つ目は、内部留保があります。資金繰りに余裕があるとまでは言えませんが、なんとか自力で乗り越えられると考えています。

3つ目は、発注者から高い信用があり、信頼されている点です。これまで社員が技術力を高め、発注者の立場に立って誠実に仕事をしてきた賜だと思っています。

過去の経験から言えることは、どんな大きな厄が来ようとも、社員が一丸となって、目の前のやるべきことに対して精一杯努力をすれば、必ず乗り越えることができるということです。苦難を乗り越えた暁には、社員も会社も一段と大きく成長しているはずです。「災い転じて福と成す」という言葉があります。今回のピンチは、四国ナンバーワンになるために、神から与えられた試練だと思って頑張りましょう。

3.売上高の推移

当社の売上げの推移を棒グラフ、建設コンサルタンツ協会の会員の平均売上げを青色の折れ線グラフ、そして国の公共事業費の推移を赤色の折れ線グラフにしてみました。売上げの単位は億円、公共事業費の単位は兆円です。

売上げ高と国の公共事業費の推移

協会員の売上げは、公共事業費とほぼ比例する形で推移しています。当社の売上げも平成19年頃までは公共事業費に比例する形で推移していました。しかし、私が社長に就任した以降は、公共事業費がほぼ横ばいであるのに対し、15年間で3.6倍に売上げを伸ばすことができました。

平成29年には協会員の売上げに追いつくことができました。現在、建設コンサルタンツ協会の会員数は501社です。その中で、当社の売上げは第102位です。

ここまで来れたのは、日本一という目標を掲げ、社員が一丸となって取り組んできた成果であると思っています。社員の皆さんに対して心より感謝申し上げます。

4.10年間の成果

昨年の6月に「60周年事業実行委員会」を立ち上げ、森田調査役を中心に記念誌の編集作業に取り組んでいただきました。この度、立派な記念誌ができました。実行委員会の皆様、そしてご協力いただいた社員の皆様に感謝申し上げます。

当社が記念誌を発刊したのは、50周年に続き2度目になります。50周年記念誌には創業期からの記録や先輩達の思い出、社員全員の100周年に向けての夢が綴られています。

50周年記念誌に私は、『第一コンサルタンツには仕事がある、笑顔がある、未来がある、と言われるような会社をつくること。その会社で社員が誇りを持ち、生き生きと働いている姿を見ること。これが私の夢である』と書きました。

60周年記念誌をめくると、平成27年には本社を新築移転し、落成祝賀会をしています。55周年の平成30年には、社員が3班に分かれてイタリア、フランス、ドイツを旅行しました。平成31年にはミャンマーに高等学校を寄贈、そしてよさこいチームを立ち上げ、よさこい祭りに初出場しました。

60周年の今年は、5月に3班に分かれてカナダ、北海道、アメリカに行きました。8月には福利厚生棟が完成し、内覧会と餅まきをしました。

第一コンサルタンツの60年の歴史の中で、最も成長したのがこの10年間でした。私の描いた夢を実現させることができ、感無量であります。社員の皆さんの協力に感謝申し上げます。

60周年記念誌には、社員全員が10年後の夢を書いてくれていますが、「念ずれば花開く」といわれます。夢を忘れることなくいつも心の中で思っていると、必ず叶います。

第一コンサルタンツは10年後に古希を迎えます。それまでには、四国ナンバーワンを目標に頑張りましょう。

5.創立60周年記念利益還元

当社では、「利益は、社員に還元する」ことを経営方針に掲げています。利益の1/3を税金、1/3を賞与、残りの1/3を内部留保することを2013(平成25)年度から実行しています。

令和4年度は利益の36%に当たる2.7億円を賞与として支給し、利益の35%に当たる2.6億円を内部留保としました。その結果、令和4年度末時点での純資産は約23億円になっています。これは誰のものかと言えば、法律上は株主のものです。

私は、会社は社員のものでなければならないと考えています。社員が一生懸命働いて貯めた財産を株主だけのものにするのは不公平です。公平にするには、社員に株主になってもらう以外にありません。このように考えて平成22年に社員持株制度をつくり、社員でも自社株式を持てるようにしました。

6.動画『道なき土木の道づくり』~日本の近代化を拓いた四国の土木技術者たち~

創立記念日には、毎年、社訓についてお話しをさせていただいているところですが、今年は、『道なき土木の道づくり』~日本の近代化を拓いた四国の土木技術者たち~という動画を見ていただきます。

この動画は、佐川町出身の廣井勇と高松市出身の増田淳の二人の足跡を紹介しながら、たくさんの若者に社会インフラの価値を知ってもらい、土木建設業の魅力を発見してもらいたいとの思いで、四国クリエイト協会、日本建設業連合会四国支部、建設コンサルタント協会四国支部が共同で制作したものです。時間は30分です。それではご覧下さい。

令和5年11月29日(水)

社長 右城猛

令和5年入社式 社長訓示(2023年4月3日)

社長の右城猛でございます。

いよいよ令和5年度がスタートしました。今年は第一コンサルタンツ創立60周年という節目の年に当たります。

5月にはカナダ、アメリカへ社員旅行を計画しています。6月には社員福利厚生施設が完成します。

8月には、4年振りに「第一コンサルタンツよさこいチーム」が復活します。

9月2日には記念式典と祝賀会を開催します。

このような記念すべき年に、優秀な4名に入社していただきました。山中映莉華さん、山本翔さん、近森充さん、中川心優さん、誠におめでとうございます。

来賓として、元朝日新聞社の依光隆明さん、高知市議会議員の横山公大さん、ストロングポイントの加賀隼人社長にご臨席賜っています。お忙しい中、ありがとうございます。

 

一年前、加賀社長に、第一コンサルタンツを日本一の会社にしたい。失敗を恐れず新しいことにチャレンジしてくれる優秀な人材を探して欲しい、とお願いしました。

加賀社長が全国の学生さんと面談し、推薦してくれた方に当社の採用試験を受けていただきました。その結果、内定している学生さんが8名います。今日はその中の7名が参加してくれています。

第一コンサルタンツが自分にとって働きがいのある会社かどうか、自分の夢を実現できる会社かどうか、自分の人生をかけるのに値する会社かどうか、じっくりと見定めてください。

 

私は1970年に高知工業高等学校土木科を卒業しました。卒業して53年が経ちます。

20代の夢は「風呂付きのアパートに住みたい」「金に困らない生活がしたい」でした。30代になると、「論文を書いて発表したい」「本を書きたい」「技術士になりたい」と思うようになりました。40代には「工学博士になりたい」と思うようになりました。気がつくと、すべてが叶っていました。

私の周りには頭が良くて、知識が豊富な技術者がたくさんいます。一流大学を優秀な成績で卒業した人もいます。そのような人が、人生において成功しているか、仕事の面で大きな成果を出しているかといえば、そうとも言えないように思います。人間として、技術者として大事なことが欠けているためだろうと思います。

皆さんの席に、『土木技術者 仕事の流儀』という冊子をお配りさせていただいています。私の経験に基づいて人生で大事だと思われること、私が技術者として心掛けてきたことを紹介しています。是非、参考にしてください。

 

『入社のしおり』の裏面に、第一コンサルタンツの経営理念と職場の三原則を書いてあります。これについて簡単に説明させていただきます。

社訓には、第一コンサルタンツの社員として心掛けていただきたいことを3つ書いてあります。一つ目は情熱です。熱意を持って仕事に取り組むことです。二つ目は、謙虚です。技術においても人格においても自分より優れた人がいます。その人に近づくように努力を怠らないことです。三つ目は誠実です。約束は必ず守るということです。

ミッションとは、第一コンサルタンツの使命です。現在の使命は、土木技術によって「高知を守る」ことですが、いずれは「日本を守る」と言えるような企業にならなければならないと思っています。

ビジョンには、「会社が何を目的に仕事をするのか」を示しています。1番目は社員の幸せです。

2番目が、発注者に信頼される仕事をすることです。

3番目が地域の人たちの役に立つことです。

その次が、会社の利益です。この順番が大事です。

会社の利益よりも、地域の人びとやお客さんために働くことの優先度が高く、お客さんとの約束よりも社員の健康を守ることことを一番だと考えています。

職場の三原則「時を守り、場を清め、礼を正す」は、教育者の森信三先生が、職場再建の三原則として提唱されたものです。「約束の時間を守る」「整理整頓をする」「明るく挨拶をする」この3つをしっかりやってください。夏と冬の賞与の査定では、これを評価項目にしています。

 

入社式の最後に、お二人に特別講演をしていただきます。日本技術士会近畿本部副本部長の河野千代さんと当社取締役の森田徹雄調査役です。

河野さんは、普通高校卒の学歴ですが、44歳の時に2度目の受験で見事、技術士に合格し、48歳で日本技術士会の理事に就任されています。近い将来、最年少で女性初の日本技術士会会長になるのではないかと噂されています。

森田さんは、大学卒業後の5年間ゼネコンで勤務した後、高知県庁に入り土木部長まで登り詰め、昨年3月に定年退職し、4月から第一コンサルタンツで勤務していただいています。技術士の資格ももっておられます。

河野さんは女性で普通高校卒、森田さんは県庁への入庁が同期の者より5年遅れというハンディを持ちながら、それを見事に乗り越えています。

お二人には、大きなハンディをどのように乗り越えたのか、体験談を話していただくようにお願いしています。皆さんのこれからの人生の参考になる話しが聞けると思います。

新入社員の皆さんの今後の健闘を期待しまして歓迎の挨拶と致します。

2023年 年頭の挨拶(2023年1月4日)

1.はじめに

皆さん、新年あけましておめでとうございます。年頭に当たりまして、ご挨拶申し上げます。

私は年末の12月27日にコロナに罹患しました。このため、1月3日まで7日間ずって自宅で療養をしていました。ワクチンを5回接種していたため、症状は普通の風邪よりもずっと軽く済みました。

忘年会を欠席せざるを得なくなり、皆様にはご心配をかけるとともに、大変迷惑をおかけしました。申し訳なく思っています。

今日は、新型コロナウイルスに関連することと、インフラ分野のDXについて、元旦に思ったことをお話させていただきます。

 

2.新型コロナウイルスに関連して

コロナ騒動が始まって3年が経ちます。生活様式が随分と変わってきました。最も変わったのは会議だと思います。コロナ初年度の令和2年は、ほとんどの会議が中止になっていましたが、最近はWEB会議がメインになってきました。

WEB会議の最大の利点は、時間や経費を節約できることです。会場へ移動する時間や交通費、会場代などの経費が不要になったことです。全国から東京へ集まらなければならないような会議は、経費が半端なく節約されているはずです。欠点もあります。会場で名刺交換したり、雑談したりすることができません。このため、面識のない人と親密になれない、人脈が広がらないことです。

私は、時間や経費がいくらかかろうとも、対面会議のメリットが数倍大きいと思っています。

コロナ禍で極端に減ったのが会食です。私の過去を振り返ってみますと、人間として、あるいは技術者として大きく成長できたときには、必ず人との出会いがありました。いつもそこでは、酒を飲みながら会食をしていました。私の経験を2、3紹介させていただきます。

私は、平成9年、47歳のとき愛媛大学から博士の学位をいただきました。その切っ掛けになったのは平成3年でした。地盤工学研究発表会が長野県であり、愛媛大学の先生と会食をする機会がありました。その席で、「一度研究室に遊びに来ませんか」と誘われていたので、一ヶ月後、午後一時過ぎに八木研究室を訪問させていただきました。

研究室には、榎先生だけがおられ、ソファに座るなり、冷蔵庫から缶ビールを取り出してきて歓待してくれました。そうしているうちに、八木先生、矢田部先生も帰ってこられ、夕方まで研究室で飲みながら歓談をしました。その後4人で繁華街へ繰り出しました。私がホテルに帰ったのは夜中の二時近くになっていました。

この日から、八木研究室と親密な関係になりました。あれから30年以上が経ちますが、矢田部先生には第一コンサルタンツの取締役になっていただいているわけでございます。

私の学位論文には、モンテカルロ法を用いた落石シミュレーション手法に関する研究を書いています。この研究のヒントになったのは、正月に実家へ帰り、幼なじみと酒を飲んでいたときに聞いた話です。友人の一人が航空自衛隊に勤務していました。日本の領空に敵の戦闘機が侵入してくることを想定し、それを撃墜する訓練をコンピュータでしている。そのシミュレーションには、モンテカルロ法という乱数を発生させる手法が用いられている、という話しでした。これがヒントになりました。斜面を落下する落石を戦闘機と見なせば良いと思ったのでした。

当社の顧問をして貰っている國島正彦先生、大森文彦先生、望月雄二さん、上野将司さんたちと親しくなる切っ掛けは、いずれもお酒を飲みながらの会食の席でした。

酒が入れば誰でも陽気になり、ポジティブ思考になります。腹を割った本音の話しをすることができます。コロナによって会食が減ったことは、経済活動だけでなくいろいろな面で大きな損失です。早く、コロナ前の日常生活に戻ることを祈るばかりです。

 

3.インフラ分野のDX

少子高齢化の影響で建設産業における就労者の高齢化、担い手不足が顕在化しています。そうした中で、自然災害やインフラの老朽化への対応が迫られています。

国土交通省は昨年、インフラ分野の「DXアクションプラン」を発表しました。2025年までにどのようなDXに取り組むのか、その方針を取りまとめたものです。

当社は昨年、ドローンレーザーやマルチビームを用いた測量業務を国土交通省から受注することができましたが、県内同業社でDXに対応できている会社は少ないように思います。DXに対応できない会社は淘汰される時代が始まる予感がします。

今年は、橋梁やトンネル、ダムといった土木構造物を対象にした、AIによる健全度診断技術が一気に進むと思われます。絶対、乗り遅れてはなりません。失敗しても構わないので、「他社より一日でも早く」という気持ちで取り組んでください。何もしなければ前へ進むことができません。失敗は経験です。経験を積み重ねれば必ず成功します。

DXを推進する上で、注意すべきことがあります。優れた土木技術が伴わなければ、DXはただのオモチャになってしまうということです。経験に裏付けされた技術があってはじめてDXが生きてくるのです。

私が敬愛している一人に、高知丸高の高野広茂会長がおられます。「昨年、スイス製の多関節型建設機械スパイダーを1億円で購入した、改良してさらに安価で良いものにするつもりだ」と話されていました。

会長は2月に86歳になります。鹿島建設や大成建設などのスーパーゼネコンだけでなく、伊藤忠商事や三菱商事とも幅広い人脈を持っており、世界中から建設機械に関する最新情報を収集しています。その好奇心には驚かされます。新しいものに興味を示し、追っかけているので、いまでも成長を続けられているのだと思います。

昨年、会長からこんな話も聞きました。「古い大栃橋を取り壊すのに高知県が5億円で発注したが不落になった。10億円でないと解体撤去できないそうだが、私なら2億円程度でできる」というのです。

高野会長は、自分で現地へ行き、橋が架かっている長瀬ダムの水深を測り、組み立て式のフロート台船を使えば、仮橋の数分の一の費用で撤去できるという説明でした。

寝ても覚めても四六時中考えているのです。ですから、誰も考えつかない妙案を提案ができるのです。私たちも仕事に対する姿勢を見習わなければいけないと思ったことでした。

 

4.おわりに

今年、第一コンサルタンツ創立60周年を迎えます。60周年を迎える企業は日本に16,083社ありますが、100周年を迎えるのはその13%の2,118社です。

第一コンサルタンツが今後、80周年、100周年と生き残っていけるかどうかは、皆さんの働き方にかかっています。

世界中から最新の技術をどこよりも早く取り入れることと、経験に裏付けされた高度な技術を身に付けることが大事です。社員一人ひとりが、この分野なら誰にも負けないという技術を身に付けるように心掛けてください。

最後になりますが、皆さんが人間としても技術者としても大きく成長すると共に、幸多い年になることを祈念しまして念頭の挨拶と致します。

創業59周年記念の挨拶(2022/11/29)

第一コンサルタンツは昭和38年11月29日に創業しました。今日、満59歳を迎えました。

人間には厄年がありますが、会社にも同じように厄年があると思います。

今年は第一コンサルタンツにとって前厄に当たります。来年が本厄、再来年が後厄になります。どんな大きな厄(わざわい)が来ようとも、社員が一丸となって、目の前のやるべきことに対して精一杯努力をすれば、厄を乗り越えることができます。そして、それを乗り越えたとき、社員も会社も一段と大きく成長できると確信しています。

 

今日は、創立記念日です。毎年、話していることですが、当社の社訓についてお話をさせていただきます。

社訓が「情熱、謙虚、誠実」であることを知らない社員はいないと思います。「社長の話は、もう耳にたこができた」と思われる社員が多いと思います。今日はこれまでとは違った話題を紹介しながら、社訓の話しをさせていただきます。

7年前の平成27年8月に本社をここに新築しました。そのとき、「仏作って魂入れず」になってはいけないと思いました。魂とは、社員が守るべき行動規範です。

「会社も立派だが社員も立派だ、さすが第一コンサルタンツだ」と言われるようになるには、社訓が必要です。

そんなとき、元・中芸高等学校の校長で、書道家の竹内土佐郎先生が、「新築祝いに何か書を書いて差し上げたい」とおっしゃって下さったので、研修室の入り口の壁に飾ってある社訓「情熱 謙虚 誠実」を揮毫してもらいました。

社員の出入り口、食堂、3階と4階の執務室の壁に飾ってある社訓は、河川砂防課の生田万祐子さんに書いてもらったものです。

「情熱 謙虚 誠実」を社訓に決めたのは、社屋を新築したときですが、平成25年の創立50周年記念式典の挨拶で、「情熱、謙虚、誠実をモットーに、更なる精進をして参ります」と話しています。

会社が100年企業に向けて成長し続けるには、「情熱、謙虚、誠実」を社員が常に意識して行動する必要があると思っています。

 

今日は、「情熱」についてお話しします。いくら能力があっても、技術が優れていても、「情熱」つまり「やる気」がなければ成果は出せません。

世の中で成功した人に共通していることは、情熱が並大抵ではないということです。

今年の8月に90歳で他界しましたが、京セラ創業者の稲盛和夫会長は、「誰にも負けない努力をすること」が大事だと常日頃話されていました。

日本電産創業者の永守重信会長は、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」、「情熱、熱意、執念」の精神で、小型モーターでは世界一の企業に成長させています。

お二人とも日本を代表する世界的な経営者です。そんな偉い人の話しをされてもピンとこないと思っておられると思います。比較的身近な人のことをお話しします。

私が敬愛する一人に、高知丸高の創業者・高野広茂会長がいます。高知丸高は年間売上げが90億円で、純利益率25%を叩き出しているとんでもない会社です。わが社の純利益率は10%です。建設コンサルタンツ協会の平均が4%ですので、当社は決して悪くないのですが、高知丸高にはとても及びません。純利益率25%というのは、建設業界で断トツです。

高野会長が一代でここまで会社を成長させることができたのは、仕事に対する執念ともいうべき情熱であると思います。

高野会長は若いころに虫歯になったそうです。虫歯になれば治療に時間がかかり、仕事に差し支えます。虫歯にならない前に全部抜いて総入れ歯にしたということです。ここまで仕事を優先させる人は聞いたことがありません。

会長の次男が参議院の高野光二郎議員ですが、その奥さんの慶さんからこんな話しを聞きました。

「お義父さんはいつも考えごとをしている。食事の時も、アイディアを思いついたら色鉛筆でスケッチブックに描いている」

平成28年に台湾南部地震がありました。そのとき、橋梁の被害調査に高野会長とご一緒しました。

桃園駅から台南駅まで高速鉄道で移動したとき、私は本を読んだり居眠りをしたりしていたのですが、隣の席の高野会長はずっとスケッチブックを広げて津波対策に関するアイディアを考えておられました。台南駅に着く直前に、「右城さん、良いアイディアが浮かんだ」とスケッチブックに描いた図面を見せてくれました。

高野会長は私より13歳年上です。旅の疲れを微塵も見せない気力と体力に驚かされたことでした。

高野会長は、毎朝4時に起きて、3時間かけて前日の反省と当日の仕事の段取りを考えているそうです。「反省なくして進歩なし」が信条と言われていました。常にPDCAのサイクルを回して改善に努められているのです。

 

もう一人、紹介します。平成15年に他界されましたが、京都大学や名古屋大学で教授をされた成岡昌夫先生です。高知市のご出身で、構造力学や橋梁工学の本をたくさん出版しておられ、橋梁分野では知らない人がいないほど有名な先生でした。

その先生から、たびたび手紙をいただいていました。京都に住んでおられましたが、高知にもご自宅があり、平成8年に帰ってこられたとき、第一コンサルタンツに来て「縮少定理による断面力検証法」という講義をしてくれました。

成岡先生から次のアドバイスをいただきました。

①毎日コンスタントに努力すること。

②他人の1.5倍働くこと。

③この時間を生み出すには、枕に頭をつけた途端に熟睡に入る訓練をする(アルコール抜きで)こと。

④記事に必要なことはすぐメモする。出所を必ず記入しておくこと。

私は、このすべてを実行できていませんが、1つでも2つでもできるようにと心掛けています。

 

昨日、71歳だという山形県の見知らぬ男性から手紙が送られてきました。手紙には、「右城猛博士は、工学博士などの資格をたくさんとり、各大学の教授をし、著書もたくさん出され、会社の社長もしている。頭が良くて運が良いのがうらやましい」と書かれていました。

その男性は、日本大学大学院工学研究科建築学専攻を修了し、「一級建築士」「建築構造士」「建築主事」「工学修士」の資格を持っているようです。

建設会社で監理建築士をしていたが、70歳になったのを理由に辞めさせられたようです。同期でも大工や溶接などの技術を持った人は今なお働いているようです。同時に辞めた同僚の一人は、別の会社に行って現場監督を続けている、と手紙に書いてありました。

その男性は、私よりも遙かに頭が良くて(=勉強ができて)、生まれ育った環境にも恵まれています。それにも関わらず、人生が上手くいかないのは、「情熱、謙虚、誠実」が欠けているからだろうと思いました。

いくら能力や技術があっても「情熱、謙虚、誠実」のない人は上手くいかないことを改めて確信しました。

 

今日は創立記念日なので社訓の話しをさせていただきました。59周年を迎えることができたのは、社員、そしていつも支えてくれているご家族のお陰です。感謝の気持ちとして「田野屋塩次郎」のお菓子セットを用意しました。

田野屋塩次郎のお菓子は、にっぽんの宝物グランプリ、日本全国おやつランキンググランプリ、お土産グランプリに輝いていますし、JALの機内食に採用されたこともある高知県が誇る銘菓です。ご家族と一緒に召し上がって下さい。

社員の益々の活躍とご家族の幸せを念じて59周年の挨拶とします。

令和4年11月29日

社長 右城 猛

令和4年入社式 社長訓示(2022年4月1日)

社長の右城でございます。

今年は、6名の皆さんに入社していただきました。入社おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

昨年4月に入社していただいたスーさん、タンさん、アウンさんにはウエブで参加していただいています。

三人は4月14日にミャンマーを出発し、15日には成田空港に到着します。高知に入れるのはその日か翌日になると思います。

今、国際報道はロシアによるウクライナ侵攻一色になっていますが、ミャンマーでは国軍と武装市民との内戦状態が続いています。ご家族の安全と、3人が無事に高知に到着することを祈っています。

本日の入社式には、高知県議会議員の桑名龍吾様、高知市議会議員の海治甲太郎様、そして高知工科大学を来年の春に卒業される予定の山本翔さんにご出席いただいています。誠にありがとうございます。

4月1日に社員全員が一堂に会して、このように入社式を行うのは平成20年からです。今回が15回目になります。

第1回の入社式を思い出して見ますと、新入社員は二人でした。新卒は西村紘寛君が一人でした。平成26年からは優秀な新卒者が毎年6~7名、今年は5名ですが、入ってくれるようになりました。とても嬉しく思っています。

東側の出入り口から入ると、正面の壁に2つの額縁に入れた書が飾ってあります。左側には社訓「情熱、謙虚、誠実」、右側には職場の三原則「時を守り 場を清め 礼を正す」の書です。

「時を守り 場を清め 礼を正す」は、明治生まれの哲学者で教育者であった森信三先生が提唱された名言です。「学校現場再建の三原則」とも呼ばれています。

今日は、この職場の三原則についてお話をします。

「時を守る」とは、時間を守る、納期を守ることです。約束を守ることです。そのためには、決められたことを即実行しなければなりません。時を守ることは、結果として自分の信用を積むことになります。

「場を清める」とは、環境を整備することです。その基本は3S「整理、整頓、清潔」です。3Sを徹底することで、気づく人になれます。そうすれば謙虚になり、感謝の心が芽生えてきます。

「礼を正す」とは、挨拶をすること、返事をすることです。挨拶の意味は、心を開いて相手に迫ることです。人とのコミュニケーションは挨拶から始まります。気持ちの良い挨拶や返事ができる人は、良い人間関係が築ける人です。返事をすることは、自分から素直な気持ちになるということです。素直な人は必ず伸びます。

「時を守り 場を清め 礼を正す」ことは、「人間力を磨く」ことに繋がります。

「技術者たる前によき人間たれ」という言葉があります。コンサルタントの技術者として技術を磨くのは当然ですが、それと同時に人格も磨いて立派な人間に成長していただきたいと願っています。

わが社では、6月に夏の賞与、12月に冬の賞与を支給しています。支給額は上司が評価して決めています。評価項目には、主体的に仕事に取り組んだかとか、資格取得に積極的に取り組んだかなど、いろいろありますが、「時間厳守」「整理整頓」「挨拶励行」をそれぞれ5点満点で評価しています。職場の三原則が100点満点中の15点を占めています。

これからは「時を守り 場を清め 礼を正す」ことをしっかり頭に叩き込んで行動してください。

第一コンサルタンツは、この15年間順調に業績を伸ばしてきました。7億円であった売上げを令和3年度には24億円まで伸ばすことができました。県内の測量設計業界では断トツですが、四国内で見れば5番目です。

今後、30億円、100億円、500億円と売上げを伸ばし、日本一のコンサルタントを目指したいと思っています。

この目標の実現をさせるには、いろいろなハードルがあります。皆さんが入社したことで、どんなに高いハードルでも乗り越えられると確信しています。全員が一致団結し、ハードルを突破していきましょう。

月刊誌『致知』の4月号に、生島ヒロシさんの書かれた「二十代をどう生きるか 為せば成る 為さねば成らぬ何事も」という記事が掲載されていました。そのコピーを皆さまの席に配布させていただいています。

生島ヒロシさん私と同じ1950年生まれで、今年72歳になりますが、今も現役のアナウンサーとして活躍されています。

二十代を過ごす上でとても示唆に富むことが書かれています。是非、参考にして下さい。

新入社員の皆さんの今後の健闘を期待しまして歓迎の挨拶と致します。

2022年 年頭の挨拶(2022年1月4日)

 

1.はじめに

皆さん、あけましておめでとうございます。年頭に当たりまして、ご挨拶申し上げます。

今年は三が日とも天候に恵まれました。ご家族で穏やかなお正月を過ごされたことと思います。

私は二日に金比羅さんへ行って来ました。平成18年からずっと初詣を続けており、今年が17回目になりますが、過去最高の人出でした。コロナ感染症の第6波にならならなければよいが、と思ったことでした。

これから2つのことをお話します。1つは、昨年の出来事で特に印象に残ったことです。もう1つは、今年、当社が取り組むべき課題です。

 

2.印象に残った昨年の出来事

最初に、昨年を振り返って、特に印象に残ったことを2つお話します。

1つは、若手社員の成長です。

土木学会四国支部技術研究発表会で吉田萌君と金剛一君の二人が優秀発表賞に選ばれました。また、地盤工学会四国支部技術研究発表会では公文海斗君が優秀発表賞に選ばれました。

社内研究発表会では、西村桃花さんが最優秀発表賞、島内司君、岩瀬誠司君、岩井蓮君の3人が優秀発表賞でした。いずれも20代の若者でした。

吉田君、金君、公文君は、社内研究発表会で学会と同じ論文を発表しましたが、社内では優秀発表者に選ばれませんでした。土木学会四国支部や地盤工学会四国支部より当社のレベルが高いことが証明されたようなもので、とても嬉しく思いました。

また、会社の忘年会の席で、今年入社した松比良美優さんに、「難関の技術士一次試験に一発でよく合格しましたね」と褒めていると、隣にいた矢野川稔君が「僕の指導が良かったからです」と自慢してきました。応接会議室で矢野川君が講師になって勉強会をしている光景を何度か見かけたことを思いだしました。「先輩が後輩に教える、後輩は先輩を尊敬する」。このような社風ができれば、会社は間違いなく成長します。

昨年ほど若手社員が成長したと感じたことはありませんでした。

印象に残った二つ目は、安全教育、安全管理の重要性です。

年末に県内のS社の社員が橋梁点検作業中に転落して死亡する事故がありました。また、県内のT社の幹部社員と下請け会社の役員が事故を隠蔽する事件がありました。

この二つの出来事を他山の石とし、日頃の安全教育と安全管理をこれまで以上に徹底するようにお願いします。

当社の経営方針は、1番目が社員の健康と安全です。2番目が会社の信用で、会社の利益は3番目です。この仕事の優先順位を常に意識して仕事に取り組むように心がけてください。

 

3.今年取り組むべき課題

次に、当社が早急に取り組まなければならないと思っていることが3つあります。そのことについて、これからお話しします。

一つは、ミスをなくす仕組み作りです。

昨年、当社の信用を損なうようなミスがいくつか発生しました。ミスの原因は、業務に関する情報が社内で十分に共有できていなかったこと、担当者に専門的知識が不足していたこと、照査が実行されていなかったこと、ISO9001が機能していないことがあったように思います。

ミスの原因を皆さんで徹底に掘り下げ、再発防止の作業マニュアルを作る必要があります。品質管理室が中心となって早急にマニュアル作りに取り組んで下さい。

二つ目は、有資格者を増やすことです。

当社には技術士、RCCM、測量士の資格を持った社員がたくさんいます。県内一の人数です。しかし四国内の同業他社と比べれば、技術士は4番目、RCCMとは7番目、測量士は7番目です。

当社では、社員の皆さんに資格取得を奨励してきました。しかし、これまでのような取り組み方では同業他社に水を開けられる一方です。

他社では一人がいくつもの資格を取得しています。資格取得に対してこれまで以上に積極的に取り組んで下さい。

三つ目は、BIM/CIMへの取り組みです。

建設コンサルタント業においてもBIM/CIMなどDX化が急速に進んでいます。幕末や戦後に匹敵する大きな変革期にあるように思います。

変革期には、それまで栄えてきた企業が消滅し、新しい企業が出現します。このことは歴史が物語っています。

当社はBIM/CIMへの取り組みが遅れました。いまのままの状態であれば、日本一を目指すどころか淘汰される恐れさえあります。

幕末には坂本龍馬など30代前後の若者が近代国家をつくり、産業革命を起こしました。終戦から日本が奇跡の復興を遂げることができたのは、大正末期から昭和初期に生まれた20代~30代の若者の力です。

幸いなことに、当社には志が高い優秀な若者がたくさんいます。若者たちには、「これからの時代は我々の時代だ。会社は我々が担ってゆく。BIM/CIMは我々に任せてくれ」という気概を持っていただきたいと願っています。

 

4.おわりに

2018年から「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」、2021年度からは「防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速対策」が始まりました。このお陰で我々の業界は恵まれた経営環境にあります。

ゆとりがある今の内にミスをしない社内体制を固めると共に、資格取得とDX化に全力を注ぎ同業他社に追いつき、そして追い越さなければなりません。

今年が皆さまに取りまして希望に満ちた幸多い年になることを祈念し念頭の挨拶と致します。

創業58周年記念の挨拶(2021/11/29)

第一コンサルタンツは第一測量有限会社として昭和38年11月29日に創業しました。58年前です。

今日は創立記念日でありますので、当社の社訓についてお話をさせていただきます。社訓が「情熱、謙虚、誠実」であることを知らない社員はいないと思います。

私がいつ、なぜ社訓を作ったのか、私の思いをこれからお話させていただきます。

社訓を作ったのは、本社をこの地に新築移転した平成27年8月です。書道家の竹内土佐郎先生が、「新築祝いに何か書を書いて差し上げたい」とおっしゃって下さったので、研修室の入り口の壁に飾ってある社訓「情熱 謙虚 誠実」を揮毫してもらいました。

社屋ができても、「仏作って魂入れず」になるような気がしていました。会社の魂とは、社員が順守すべき行動規範です。

「会社も立派だが社員も立派だ、さすが第一コンサルタンツだ」と言われるようにするには、社訓が必要と思っていました。

いろいろと考えて、「情熱 謙虚 誠実」を社訓に決めたのですが、実は、平成25年の創立50周年記念式典、あるいは50周年記念誌で、「情熱、謙虚、誠実をモットーに、更なる精進をして参ります」という挨拶をしています。会社が100年企業に向けて成長を続けるには、「情熱、謙虚、誠実」を社員が常に意識して行動する必要があると思ったからです。

まず、「情熱」についてお話しします。いくら能力があっても、情熱つまり「やる気」がなければ成果は出せません。社員には、「日本一の技術者になる」「会社を日本一にする」という情熱をもって仕事に取り組んでもらいたいと願っています。

私が尊敬する経営者に、日本電産の創業者・永守重信氏がいます。昭和48年に28歳のときに社員4人で設立した会社です。48年経った現在の売上高は、1兆7千億円です。第一コンサルタンツは矢野利男氏が33歳の時に社員5人で創業しました。58年経った現在の売上高は23億円です。業種が違うので、金額を比較しても意味はありませんが、わずか48年で小型モーターの分野で世界一の企業に成長しています。当社は、日本一どころか四国で5番目です。

永守氏は、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」、「情熱、熱意、執念」の精神を貫いています。日本電産と当社の違いは、「情熱」の差だと思っています。今一度、情熱について考えて見て下さい。

次に「謙虚」について説明します。謙虚とは、自分のことを偉いと思わず、周りの人から素直に学ぶ姿勢があることです。

私が尊敬する人物に廣井勇がいます。今年の4月、廣井の出身地の佐川町に銅像を建立しました。廣井は、東京帝国大学の教授で土木学会第6代会長もされた人物です。私たちから見れば大天才ですが、家族には「自分には才能が無い。他人が3日でできることが一ヶ月もかかるのだ」と話し、日々努力を怠ることが無かったと言われています。廣井が見ていた他人とは、札幌農学校の同期の内村鑑三や新渡戸稲造だったのだと思います。

高い志や目標を持っている人は、常に自分より上の人を見ています。そうしますと、自分の知識や努力がまだ足らない、もっと勉強しなければと言う気持ちになります。

最後に「誠実」についてお話をします。誠実とは、嘘をつかない、約束を守るということです。

「至誠通天」という言葉があります。中国の孟子の言葉です。「誠の心を尽くして行動すれば、いつかは天に通じて認められる」という意味ですが、「何事においても、一つ一つの課題に誠実に取り組み、精一杯の努力をすれば、必ず願いは叶う」という教えです。

社訓は研修室の入口だけでなく、常に社員の目に入る場所におきたいと考え、東側の社員の出入口、食堂、3階調査部と4階設計部の壁にも掲示してあります。これは、設計部河川砂防課の生田万祐子さんに書いてもらったものです。

今日は創立記念日なので社訓の話しをさせていただきました。58周年を迎えることができたのは、社員、そしていつも支えてくれているご家族のお陰だと思っています。感謝の気持ちを表す意味で芋や金次郎のお菓子を用意しています。退社するときに持って帰って、ご家族で召し上がって下さい。

これからも「情熱、謙虚、誠実」を心掛けて、60周年、そして100周年に向かって邁進して参りましょう。

社員の皆様の益々の活躍とご家族の幸せを念じて58周年の挨拶とします。

令和3年11月29日

社長 右城 猛